2018年9月28日金曜日

産地見学 vol.5 石化ケイトウ

ニワトリのトサカに似ていることから鶏頭という字を書きます。
市場ではケイトとも言います。

昔からよく見受けられるのは
庭などに咲いていた赤くて小振りのタイプだと思います。

今回は
手のひらを広げても、もっともっと大きなケイトウ
茎は石化して平らでお花は横から見ると三角形。

その名は…

【石化ケイトウ】ヒユ属

大野重雄さん

















千葉県印西市で20年以上生産しています。
おっとりと優しい語り口。
癒し系という言葉がとても似合う生産者さんです。
ご家族4人で生産しています。

待ち合わせした場所から
圃場を見に行きましょうかと車を走らせると
遠くからでも鮮やかな色彩が目に飛び込んで来ました。

















露地栽培が基本です。
大小10ヶ所くらいに点在して圃場があります。













とてもカラフル!
ミックス蒔きした所と
オレンジばかりピンクばかりと単色蒔きした所

発色の良さはピカイチです。

種は毎年購入していますが

綺麗な形のお花から採取して
取っておくそうです。
↑こだわりポイント!

色も大事で固定させるのが
とても大変だそうです。

















絶妙なグラデーション
オレンジ一つとっても
蛍光っぽい色からアンティーク調の色まで幅広い。
同じ色でまとめないといけない場合は
本数を集めるのに苦労すると
大野重雄さんは話します。

このへんのこだわり
大野重雄さんの石化ケイトウへの
熱い思いが垣間見えました

















虫もすぐにつくので
週に1度は消毒しています。
病気と虫、自然災害と
植え付けた半分でも出荷出来れば良い方なのだそうです。

こんなにたくさんある石化ケイトウ!
手間隙かけて育てても
台風などで一瞬で価値を失ってしまう。
だからこそ
店頭で手にする石化ケイトウは貴重なのです。


















大きいものは植え付けてから
3ヶ月以上の日数が必要です。
2メートル以上と背が高く
お花も大人の女性の顔より大きいくらいです。

三角形が基本的ですが
芸術的な形や曲がりのものもあり
私はワクワクしてしまいました。
しかし
これらは出荷はしません。

とにかく!!!
質に対するこだわりは凄いです。
これで良いかな・・・
ではだめ
これが良い・・・
なのです。


大野重雄さんの石化ケイトウは
名前を聞く前から一目見てすぐに分かると言うフローリストさんが多いです。
それだけゴージャスで仕立てが美しいのです。

飾る時はお水少なめで、お花長持ち剤を入れるのがお勧めです。

2018年9月22日土曜日

産地見学vol.4 深谷ゆり

深谷と聞いたらまずは何を思い浮かべますか?

ネギと答える方が多いと思います。
実は…
深谷は球根切花の生産がさかんで
全国屈指のお花の大生産地です。

百合の生産量はトップクラスです。

【深谷ゆり】 LAゆり

は・・ロンギフローラムリリー(テッポウユリなど)
は・・アジアンティックリリー(総称してスカシユリなど)

テッポウユリの大輪性とスカシユリの香りがなく多色性をもつ交配種です。

深谷市は日本で初めてLAユリの栽培に取り組んだ産地です。
現在の生産者さんは26名。

JA深谷さんをたずねました。


















出迎えてくださったのは


















八ッ田善彦さん
オランダ公認のリリーアンバサダーのお一人です。

とても優しくて親しみやすい笑顔。
ハキハキとこちらの質問に答えてくださり、誠実な方です。
ユリの生産年数は16年です。


















ハウスは鉄筋5棟、パイプ6棟の11棟。

適温は18℃。
35℃で生育を止めてしまうそうです。
今年の夏はとても気温が高くて
温度管理に苦労したそうです。

遮光カーテンのビーナスラッセルは夏冬兼用です。
ハウスは夏は閉めないでオープンにしています。

ユリに沿ってある下のチューブで水やりをします。
夏は夕方に一回。
朝にあげると気温が上昇して蒸れてしまうため。
冬は朝に一回。
夏と逆で夕方にあげると凍ってしまうため。

















上から見るとまるで芸術作品です。
葉は、日差しが強いほど
風車のようにねじれるのだそうです。

お水の管理で葉の枚数が減ったりします。

これから購入した深谷ユリを
ゆっくりじっくり観察すると
そのユリのストーリー(背景)が見えてきて
違う楽しみが増えますね。

球根はオランダからの物がほとんどですが、
それ以外は
チリとニュージーランドからも輸入しています。
季節によって球根サイズを変えています。

夏は暑いので品種選定が限られていますが、
1年通して10~20品種生産しています。

















球根は一つ一つ手植えです。
芽を上に向けて根を下にして植えてあげないと
とんでもないことになるのです。
植え付け一つの作業だけでも大変な労力ですね。

















ユリを採花する時は
間違えて隣のユリを切ってしまわないように
こんなに刃が小さくて可愛い道具を使います。

色々な道具を見てきましたが
全て理にかなっていて
改めてすごいなぁと感動しました。

深谷ゆりは周年出荷を強みにしています。
全体では700万本弱を生産。

ご自宅で飾る時は切花の活力剤や栄養剤は不要とのことです。
ただし、他のお花と一緒に飾る時はいれてあげましょう。

















八ッ田善彦さんから一言

長く楽しめるお花の一つの深谷ゆり。
色合いも可愛くて飾りやすいサイズのユリです。
色々な場面で気軽に飾って欲しいです!