2019年3月11日月曜日

vol.14 カラー(水耕栽培)


湿地栽培(水耕栽培)カラー生産日本一の産地さんである
千葉県君津市に行って来ました。
東京から車で高速(アクアライン)を使うと
あっという間に到着しました。

畑地(土耕栽培)のカラーは色が豊富にあるのが
特徴の一つですが
湿地栽培(水耕栽培)のカラーは上品な白いお花がメインです。

真っ白な花を青空に向けてすっと伸ばす
凛とした花姿には潔さを感じます。

【カラー】 Calla-lily
サトイモ科 多年草
南アフリカ原産 




奈良陽さん

明るい笑顔で
滑舌良くポンポンと話してくださいました。
カラー生産は5年目。

ん?
その前は?
お聞きすると…
都内で金融会社にお勤めしていたそうです。
なるほど!
身のこなしがテキパキしていて
スーツ姿でばりばりと働く姿が
容易に想像つきます。

なぜ都内から千葉県に越してまで転職したのでしょうか?
お花(カラー)の生産は
自分が元気なうちは
ずっと終わりがなく続ける事ができるので
ご夫婦で決心して移住されたとのことです。

会社員から生産者さんへ。
明るい笑顔で話してくださいましたが
1から必死に勉強して
当初は色々とご苦労もあった事と思います。
また
カラーの生産以外に野菜も作っています。

ご自身のカラーのハウスは
アクアホワイト2棟ウェディングマーチ2棟の計4棟。

ですが
他の方のハウスも見ていて
今は27棟を管理しています。


1棟がとても長くて
それが27棟‼
凄いなぁと思ったら
繁忙期には全てのハウスのドアを開けるだけで
1時間かかるんだよ!
と笑いながら話してくださいました。

アクアホワイトの開花は
9月下旬頃から5月上旬頃。
ウェディングマーチの開花は
10月上旬頃から5月上旬頃。
どちらも
トップシーズン
3月4月です。



1本から2本花が出るので
1本目で栄養成長や、成長バランスをチェックするそうです。
そして
葉が大きいと花も大きい
と比例するそうです。
こういう成長過程のお話しを
直接聞くことが出来るのは
本当に貴重な時間です。



年間24時間365日
大体平均15℃くらいの
地下水300メートル以上から湧き出ている
井戸水を使っての栽培です。


冬は暖房はいらない
夏は冷房はいらない
夏の場合は
遮光ネットで真夏の直射日光を遮って暑さから守っているそうです。



ハウス内は冬だというのに
ほわっと暖かく感じました。



肥料はジベレリン処理。
固形の物を下に埋めています。

今はちょうど小糸カラーの美しい季節。
ぜひ飾って楽しんで頂きたいと思います。
カラーの大人カッコイイ独特な美しさに
いつも魅了されます。

飾る時は
花瓶のお水は少なめにして
茎を下から切り戻してください。
涼しい場所に置いてあげる
より長く楽しめます。


2019年2月25日月曜日

vol13 産地見学 アネモネ

春になるとうきうきして来ます。
寒くて縮こまっていた身体を
う~んて伸びをして
暖かいお日様の光を浴びたくなります。

気づくと蕾も膨らみはじめ、
あちこちで春の息吹を感じます。

花屋の店先が
落ち着いた大人色から少女のような可愛い色に
様変わりし始めました。

春のお花はたくさんありますが
くっきりとした花色に透き通るような儚い花弁を持つ
アネモネの魅力には
いつも、うっとりしてしまいます。

『モナ・リザ』『デ・カン』『セント・ブリジット』『ポルト』『咲き詰め咲』…
品種は色々ありますが
今回は『デ・カン』を生産されている
アネモネ生産者さんの所へ伺って来ました。

ずーっとずーっと
行きたかったアネモネの圃場へわくわくしながら!

雨予報でしたが、ぽかぽか陽気で気持ちの良い日でした。

【アネモネ】
キンポウゲ科 多年草 地中海原産
和名「牡丹一華(ボタンイチゲ)」「紅花翁草(ベニバナオキナグサ)」など。

語源はギリシャ語で「風」を意味する「anemos」から。
種が風によって運ばれるので、
「風」が由来となっている名前が各地で見られるそうです。

















千葉県君津市
小糸のアネモネとして生産されている
溝口光枝さん

はにかんだ笑顔がとても優しくて
物腰柔らかな素敵な女性です。

そして
とても驚いたことに
君津市でのアネモネ生産者さんは僅か4人だけとのこと。
小糸のアネモネは有名で
季節になると安定して入荷していたので
もっとたくさんの生産者さんがいらっしゃると勝手に思っていました。

ハウス4棟で『デ・カン』を20年間
ほとんどお1人で生産されています。




アネモネの色は基本的に赤、紫、白、ピンク4色。
ハウスの中では色ごとに整然と植え付けられていました。

ちょうど採花の真っ最中にお邪魔したのですが
ハウスの中は、春が溢れていました。
きらきらとお日様を浴びて
笑い声が聞こえてきそうです。

8月中旬に国産球根を冷蔵庫に1ヵ月保管して
9月中旬に畑に植え付けます。
これは球根に冬から春を教えるためです。
冷蔵庫は生産者さん各自が持っていて、保管しているそうです。
今シーズンは約5700球を植え付けたそうです。

その年によりますが
11月中旬から3月上旬までが収穫となります。
12月の陽気の影響なのか
今年はとても丈が長いそうです。
確かに『デ・カン』は草丈が短いイメージでしたが
ハウス内のお花は50センチほどあります。


















お花のサイズは小ぶりで、茎も細いのですが
お日様に向かってぐんと伸びている姿は
元気いっぱいで、頼もしくさえ感じました。

1株から大体30本くらい採花出来るそうですが、
陽気が良い日が続いて、次々と咲くので大忙しだと
ニコニコ笑って話してくださいました。
球根の植替えは、毎年行い、液肥を数回与えています。


















下葉処理もきちんとされています。














ボト病(灰色かび病)などに注意して
気温は凍らない程度に保ち
雪害対策としては
ハウスに筋交いの棒とハウス内に支柱を数本立てています。

冷え込む朝晩は、日中に換気のために開けておいた横のシートを閉めます。
2重ハウスなので真冬の暖房以外はそれで大丈夫だそうです。

暖かい千葉県君津市ですが
数年前の大雪では雪害でハウスが潰されたりと
色々とご苦労がおありです。

昔は菊やカスミソウも栽培していたそうですが、
今は、お花はアネモネの栽培のみ。
アネモネが終わるとサヤインゲンの栽培をされています。

















採花したての赤いアネモネ
ハサミで1本1本切ります。

最近
切花としてアネモネの『モナ・リザ』の入荷がとても少ないなぁと思っていたら
栽培する時は分球しにくいので、
種または苗での栽培になるそうですが、
アネモネの品種としては暖房がとくに必要で、コストもかかるため、
苗農家さんが減ったことが一つの理由だそうです。

アネモネは茎が空洞なので、
指で押したら潰れてしまいそうと思いますが
生命力溢れていて、そんな心配は不要です。

蕾から花開き、そのまま花弁がはらはらと散ってしまいそうなのに
毎日お水を替えて、切り戻してあげると
びっくりするくらい長く楽しめます。

















色がはっきりしているアネモネは
単色でも色ミックスで飾っても美しいお花だと思います。
この季節の春のお花
アネモネで
お部屋に彩りを添えてみませんか?

2019年1月31日木曜日

vol12 全国ゆりサミットin高知

リリーアンバサダーとして
会社形態の生花店一スタッフとして
百合の魅力を発信していくために学びたくて
初めて大規模なサミットに出席して来ました。

とても緊張感をもって臨みました。










高知県リリーズファミリー会長
森田浩明さん、真智子さんご夫妻
森田園芸さん




『全国ゆりサミット』

1月25日、26日
全国のゆりの関係者が集結し、ゆりの魅力、今ある課題や問題点を
参加者全員で意見を出し合い、今後の取り組み方針を探り、考え、
行動するために行われました。

第1回目は3年前に埼玉県深谷市で行われました。
サミットを開催するきっかけは雪害からの復興だったということです。

今回はゆりの生産量が全国第2位の高知県で開催されました。
私にとって初めての四国、初めての高知県です。

全国各地から、生産者、市場、中卸、生花店などゆりに携わる人達が270名集まりました。

















サミットのメインテーマ

『ゆりを続ける。』

それぞれの立ち位置から、ゆりを続けていくことを考えていきます。
このメインテーマをふまえて
分科会では4つのテーマにわかれて、意見交換しました。

テーマ1
販売から市場、消費等を議論
「我々は売りにくくなったゆりをどう売っていくのか」

テーマ2
栽培、球根仕入、土壌、施設などを議論
「納得いくゆり作りとはなにか、作り続けるために何ができるか」

テーマ3
社会環境における人とゆりの関係を議論
「ゆりと人の関係性はどのようになっていくのだろうか」

テーマ4
自由テーマで業界を俯瞰した議論
「考える事が次につながる」

「情報共有」「コミュニケーション」「ゆりフェア」「香りの取り組み」「SNSの活用」など、ゆりを次世代につなげるための意見がたくさん出されました。

テーマでまとめた内容は本年中に資料としてまとめられる予定なので、再度お伝え出来ればと思います。

私はテーマ4に参加させていただきました。

いくつかのテーブルがある中で、
リリーアンバサダーテーブルが今回は特別に設けられました。
自由テーマで、他県、他業種のリリーアンバサダーの方と現在の課題や今後のあり方について意見を交換しました。

ある生産者さんは生花店やお客様との繋がりが直接ないので、
先ずは現地のゆりを見て「きれいだよね」と実感して欲しいということでした。

私が産地見学を続ける理由はまずそこにあり、
その花の魅力を感じて、生産者さんの生の声を聞いて、
私自身が好きにならなければ店頭でお客様に心からおすすめできないのです。

ゆりは扱いづらいから苦手という方も
一度、産地でゆりのストーリーを感じて知ってもらえれば
好きになってくださると思います。

生花店スタッフだけではなく、
お店のお客様にも産地見学をしていただく機会を作れば
ゆりの魅力をさらにお伝え出来ると思うのです。

生産者さんとの繋がりをもって情報共有する。

そのためには生産者さんと生花店の間にいる市場の方や仲卸のかたにパイプの役割をしていただいて、
専門家である生産者さんにゆりについて勉強会を開いて教えてもらったり
生産者さんが店頭で直接お客様の反応を見る
生花店が産地でゆりの栽培を見る
ゆりのサンプルの試飾
こういった事が出来れば、もっと広がっていくのではないかなと思います。









今後リリーアンバサダーとしてやりたいことを
書き出しました。






今回のサミットでは
270名というたくさんの方が集まったのに
生花店は9名のみ。
テーマだけみても生産者さんだけの思いを強く感じて
これでは一方通行になってしまうのではないか?と不安でいました。

こういった場にもっともっと生花店の方が入って、
お互いの現状と課題を話すことが出来れば
理解も深まり、ゆりの魅力を発信し続けることが出来るのではと思います。

続けていく。
繋がっていくことが大切なのだと感じた2日間でした。