2018年10月27日土曜日

vol.8 百合

前回の投稿でオリエンタルリリー(百合)の生産者さんについて
書かせていただきました。

今回はお花について・・・

【百合】 ユリ 球根植物

ユリ目ユリ科のうち主としてユリ属の多年草の総称です。
学名Lilium
Liliumはラテン語でユリの意味。

百合は北半球で発見された植物です。
百合は海抜より高い場所で成長します。

日本はオランダをはじめ
南半球のニュージーランドやチリから
毎年1億5千万個以上の球根を輸入しています。

風が吹くと花が揺れるところから「揺すり」と言われ、
それが変化して「百合(ユリ)」と呼ばれるようになりました。

漢字の「百合」は百合の花の鱗片がたくさん重なっているところから
きていると言われています。

聖母マリアに捧げられたことから
「純潔のシンボル」とされています
キリスト教ではマドンナリリーと呼びます。

日本でも百合は神聖な花とされて昔から多くの人に好まれて来ました。

「知ってる百合の名前は?」と聞くと
「カサブランカ」と答える方がとても多いです。
百合の王様と言っても良いくらいの存在感ですね。















「カサブランカ」は今でも大変人気があり、
1980年代後半から90年はじめにかけて「ユリブーム」を巻き起こしました。
日本の百合の原種数種の交配種である事はあまり知られていません。
白い百合はすべて「カサブランカ」と思われがちですが
実はそうではないのです。

百合は品種登録されているだけで100品種以上あります。
育種活動が盛んになり、
かけあわせなどで
バラエティー豊かな色、強さ、大きさなど
ゆりはどんどん進化しています。

品種ごとに特徴をあげると…

オリエンタル・ハイブリッド系
大輪の花、かぐわしい香り、ボリューム感
お花屋さんの店頭でよく見かけると思います。

ロンギフローラム・ハイブリッド系
大きく香り高い白いお花
トランペット状の花が外側に向いて咲きます
代表種は鉄砲百合

アジアティック・ハイブリッド系
総称スカシユリ
オリエンタル系と比べて中輪で香りがなく
色が豊富、花姿がしっかり
上向きに花を咲かせます

LAハイブリッド系
Lはロンギフローラム、Aはアジアンティック
良いところを掛け合わせた交配種です
香りはなく色彩豊かでトランペット状の花を咲かせます。

OTハイブリッド系
オリエンタル系とトランペット咲きの百合の交配種です
甘い香りが特徴で
オレンジ色と赤褐色の色味が豊かです

LOハイブリッド系
ロンギフローラム系とオリエンタル系の新しい交配種
オリエンタル系の素晴らしい香りと小さいサイズ
コンパクトなブーケなどに喜ばれそうです。

芳香
甘く特徴的な香りは
リラックスさせてくれる効果があります。
百合は香りが良いのが最大の魅力ですが
使う場面で香りがない方が良い時もありますが
今は
百合の魅力そのままで
香りがない品種も出回っています。


花粉
花粉のある自然そのままの姿は
とても美しいと思います。

しかし、ついうっかりして服などについてしまった場合は
ガムテープなどの粘着テープを使用すると効果的です。
花粉が着いた箇所で何度も触らないように注意してください。

掃除機がある場合は
「弱」に設定して様子をみながら使用してください。
絶対にこすらないように注意しましょう。

育種は盛んに行われ
今では花粉がない(無花粉)の百合が出回っています

色々なシーンで大活躍する百合
日保ちもよく蕾から花開くまでの
ストーリーが楽しめます

ぜひご家庭で気軽に飾って欲しいです











2018年10月18日木曜日

産地見学 vol.7 オリエンタルリリー(1)

花屋で働き始めて、
初めて購入して家に飾ったのはオリエンタルリリーのシベリアでした。
気品ある佇まいと花開いた時の華やかさに魅了されました。

百合にもたくさんの品種や色があります。
その中でも、
白い百合の清楚でいて高貴な雰囲気は特別な気がします。

カサブランカ
この百合の名前を聞いた事のある方は多いと思います。

カサブランカは、オリエンタル・ハイブリッドと呼ばれる品種群の1つですが
シベリアも同じ品種群です。
シベリアは花が上向きに咲き、アレンジもしやすく
とても良い香りがします。

白を筆頭に薄いピンク、濃いピンク、黄色...
カラーバリエーションも増えました。
お仕事で毎日必ず手にするオリエンタルリリー。

【オリエンタルリリー】 
Lily 百合
ユリ科(球根植物) 
原産地 北半球


その魅力をもっと知りたいと
伺ったのは...
栃木県宇都宮市
全国でも有数の日照量。
百合の育成に適した好立地。

F・F・HIRAIDEさん
エフ・エフ・ヒライデさん

2つの「F」はFarmerとFloristのことです。

お花のプロフェッショナルである「生産者」「フローリスト」
エンドユーザーへのお花の魅力をお届けする
という意味を込めています。












代表取締役の平出賢司さん

落ち着いた話し方。
理知的な雰囲気でとても頭が切れるのが伝わります。
とても誠実な方です。
時々見せる笑顔が優しくて
少年のようです。

オリエンタルリリー生産の前はトマトを生産していました。
オリエンタルリリーを生産するようになって29年。












圃場は何ヵ所にも分かれています。

第1圃場は
鉄骨ハウス3棟、パイプハウス4棟。
第2圃場は統合環境制御コンピューター導入のとても大きな圃場。
第3圃場は鉄骨ハウスで集出荷場を併設しています。












圃場の行き来は車です。
太陽光発電設備も整っていて、
近代化という言葉を当てはめてしまいたくなります。

全シーズン生産可能な設備を備え
オリエンタル系約90万本、LA系約10万本を年間生産しています。
















ハウスの中はほわっと暖かく
ぬくもりを感じます。
















シャベルの機械で穴を開けて
球根を植え付け
理路整然ときちんと並んでる百合達
































カベッラ
百合達が高い空へ向かって
真っ直ぐ伸びている姿が美しい。


コルコバード
まるで陽だまり
















採花した百合は
このレールで運ばれていきます
















選定を待つ百合達。
前処理剤の入った桶に直ぐに入れられて
レールで運ばれて
選定場所に運ばれます。

化学肥料を用いない有機質肥料での栽培など
環境へも考慮しています。
土の消毒は80度のお湯を1時間ほどパイプから供給しています。
土は財産だと言います。

















球根は主に輸入しています。
オランダからが1番多く、
生まれ育った国の気温や地温にどれだけ整えることが出来るか?
ストレスのない環境を作ってあげられるのか?

球根にとって良い環境を作ってあげる!

常に考えて取り組んでいるそうです。

扱っている百合の品種は約50品種ほど。
ソルボンヌ、テーブルダンス、マーロン、シベリア、プレミアムブロンド・・・
赤、白、黄色、ピンク・・・



球根貯蔵庫には
たくさんの球根達が自分達の出番を待っています。

















優しく球根を手にする平出賢司さん

まるで我が子を慈しむような優しい手つきです。
土にこだわり、光にこだわり、
24時間コンピューター管理されていますが
最終的には
平出賢司さんの愛情が
美しい百合達を花開かせているのです。

生産者
平出賢司さんから
一言・・・
百合は
手元に届いてから咲かせることが楽しめます。
蕾から大きく花開くまでを
間近で見て楽しんで欲しいです。
花もちが良い百合
ぜひご家庭で飾ってください。

花もち剤を使用する場合は百合専用の物をお勧めします。
品種によりますが、百合の葉の黄化を進めてしまう場合があるそうです。



1本でも存在感あるゴージャスなオリエンタルリリー
気軽に飾ってみませんか?

2018年10月1日月曜日

産地見学 vol.6 コスモス

うす紅の秋桜が秋の日の
何気ない日溜りに揺れている♪

このフレーズを
耳にしたことがある人は
たくさんいるのではないでしょうか?

1977年にリリースされた有名な女性歌手の歌です。
今では【秋桜】と書いて
【コスモス】と読ませるのが広く一般的になりましたが
実はこの読み方は
昭和のこの歌から始まったのでした。

ゆらゆらと
風にそよぐ姿

1本でも可愛いけれど
密集して咲いている姿は
思わず歓声をあげてしまいます。

儚い花弁を持つお花

【コスモス】 キク科 原産地 メキシコ

イタリアの芸術家が1876年頃に
メキシコから日本に持ち込んだのが最初
との説があります。

Cosmosはギリシャ語で「飾り」の意味

















前回と同じ生産者さん
大野重雄さん

千葉県印西市の生産者さんで
コスモスの生産は30年くらいです。
ベルサイユ、ピコティ、ピンクピコティ、ラディアンス…
これらの品種を育てています。

















露地栽培が基本です。
7月上旬から種の植え付けをします。

うどんこ病や白斑病のような
白いぽつぽつが出る病気になりやすい

雨に当たると直ぐにシミになるので
お天気予報は常にチェック!


間をあけて植えて
ボリュームあるスプレー咲きに仕立てています。
強い風にも弱いので
風除けのワクを設置しています。

しかし!
茎がとにかくしっかりしていました。
これは大野さんのこだわりの一つです。

手間がかかるので
周りの生産者さんは
コスモスの生産を辞める方が増えたそうです。


















大野さんのコスモスが可愛い
そう言ってもらえると嬉しいから
まだ生産は続けます。
と大野さん。

他にも優しい草花系の生産をしているので
違う季節に
また訪れたいと思いました。

コスモスは秋を代表するお花の一つ

飾る時はお水多めにして、栄養剤も入れるのがおすすめです。