2019年2月25日月曜日

vol13 産地見学 アネモネ

春になるとうきうきして来ます。
寒くて縮こまっていた身体を
う~んて伸びをして
暖かいお日様の光を浴びたくなります。

気づくと蕾も膨らみはじめ、
あちこちで春の息吹を感じます。

花屋の店先が
落ち着いた大人色から少女のような可愛い色に
様変わりし始めました。

春のお花はたくさんありますが
くっきりとした花色に透き通るような儚い花弁を持つ
アネモネの魅力には
いつも、うっとりしてしまいます。

『モナ・リザ』『デ・カン』『セント・ブリジット』『ポルト』『咲き詰め咲』…
品種は色々ありますが
今回は『デ・カン』を生産されている
アネモネ生産者さんの所へ伺って来ました。

ずーっとずーっと
行きたかったアネモネの圃場へわくわくしながら!

雨予報でしたが、ぽかぽか陽気で気持ちの良い日でした。

【アネモネ】
キンポウゲ科 多年草 地中海原産
和名「牡丹一華(ボタンイチゲ)」「紅花翁草(ベニバナオキナグサ)」など。

語源はギリシャ語で「風」を意味する「anemos」から。
種が風によって運ばれるので、
「風」が由来となっている名前が各地で見られるそうです。

















千葉県君津市
小糸のアネモネとして生産されている
溝口光枝さん

はにかんだ笑顔がとても優しくて
物腰柔らかな素敵な女性です。

そして
とても驚いたことに
君津市でのアネモネ生産者さんは僅か4人だけとのこと。
小糸のアネモネは有名で
季節になると安定して入荷していたので
もっとたくさんの生産者さんがいらっしゃると勝手に思っていました。

ハウス4棟で『デ・カン』を20年間
ほとんどお1人で生産されています。




アネモネの色は基本的に赤、紫、白、ピンク4色。
ハウスの中では色ごとに整然と植え付けられていました。

ちょうど採花の真っ最中にお邪魔したのですが
ハウスの中は、春が溢れていました。
きらきらとお日様を浴びて
笑い声が聞こえてきそうです。

8月中旬に国産球根を冷蔵庫に1ヵ月保管して
9月中旬に畑に植え付けます。
これは球根に冬から春を教えるためです。
冷蔵庫は生産者さん各自が持っていて、保管しているそうです。
今シーズンは約5700球を植え付けたそうです。

その年によりますが
11月中旬から3月上旬までが収穫となります。
12月の陽気の影響なのか
今年はとても丈が長いそうです。
確かに『デ・カン』は草丈が短いイメージでしたが
ハウス内のお花は50センチほどあります。


















お花のサイズは小ぶりで、茎も細いのですが
お日様に向かってぐんと伸びている姿は
元気いっぱいで、頼もしくさえ感じました。

1株から大体30本くらい採花出来るそうですが、
陽気が良い日が続いて、次々と咲くので大忙しだと
ニコニコ笑って話してくださいました。
球根の植替えは、毎年行い、液肥を数回与えています。


















下葉処理もきちんとされています。














ボト病(灰色かび病)などに注意して
気温は凍らない程度に保ち
雪害対策としては
ハウスに筋交いの棒とハウス内に支柱を数本立てています。

冷え込む朝晩は、日中に換気のために開けておいた横のシートを閉めます。
2重ハウスなので真冬の暖房以外はそれで大丈夫だそうです。

暖かい千葉県君津市ですが
数年前の大雪では雪害でハウスが潰されたりと
色々とご苦労がおありです。

昔は菊やカスミソウも栽培していたそうですが、
今は、お花はアネモネの栽培のみ。
アネモネが終わるとサヤインゲンの栽培をされています。

















採花したての赤いアネモネ
ハサミで1本1本切ります。

最近
切花としてアネモネの『モナ・リザ』の入荷がとても少ないなぁと思っていたら
栽培する時は分球しにくいので、
種または苗での栽培になるそうですが、
アネモネの品種としては暖房がとくに必要で、コストもかかるため、
苗農家さんが減ったことが一つの理由だそうです。

アネモネは茎が空洞なので、
指で押したら潰れてしまいそうと思いますが
生命力溢れていて、そんな心配は不要です。

蕾から花開き、そのまま花弁がはらはらと散ってしまいそうなのに
毎日お水を替えて、切り戻してあげると
びっくりするくらい長く楽しめます。

















色がはっきりしているアネモネは
単色でも色ミックスで飾っても美しいお花だと思います。
この季節の春のお花
アネモネで
お部屋に彩りを添えてみませんか?